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 先日、梅の花が咲き始めた畑にいたら、道路向こうから『今日は何の撮影ですか?』って聞いてきた半年振りに会う女の子がいた。学校のジャージ姿なので『部活帰り?』って聞いたら『3年だからもう・・』って・・・あの時、お母さんと映画の撮影を見に来ていたのは小学生だったって言うから、山岸邸も4年ってことか・・
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 初めてこの空家を見せてもらいに来たのは4年前の丁度今頃でした。その時も畑に梅の花が咲いていました。青梅インターを降りて15分程、幅の狭い清川橋を渡ったらすぐにあった。白い蔵が前面に建つ昔ながらの田舎の家だった。建物は傷みもゴミもなく、埃の積もった床には物が無造作に置かれていた。破れた障子が空家らしかった。s_DSCF7638cp
 以前設計をしていた時の名残で空間という言葉を使うことが多い。撮影の人たちはロケーションと言うことが多い。私は景色の中で人が作業を始めると空間になると考えている。空間は建物の内外にできる。その空間を素敵にするかは使う側のことですが、そのきっかけを提供していきたいと考えています。空家や未利用地に人が入り、それぞれの作業(撮影)が始まる。やることがない私はそれを遠くで見ている。遠くで見ているから作られていくシーンが面白い。大道具が入る。雨の日もあれば雪の日もある。暑い夏の日もあれば夜のシーンもある。女優さんもいればモデルさんも来る。自分のお店の商品を撮りに来ていただける方や非日常的空間を求めポートレートやコスプレ撮影に利用していただくことも多い。卒業・結婚・・大切な記念日の一枚を撮りに来ていただける時は泣けてくる・・・。撮る人も撮られる人もプロデューサーも照明さんも美術さんもメイクさんも・・・そこには作業する人たちが輝ける空間がすでに出来ている。
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  この事業『空間再生利用Fululu』を立ち上げたキッカケは、まだ使えそうな建物の最後がどうもよくないと考えていたこと。・・・・経年変化は『価値』ではないのか?劣化とは違うのに。ある本で価値の提供とは簡単には『人の役に立つこと』と書いてあった。100年住宅を作っても100年人が住むとは限らない。役目を終えた建物の価値・・・数年前、空家を持つオーナーと経年変化を好む表現者たちのお役に立てることができないのかと考えていた。
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 あれから4年、10年間空家だった古民家山岸邸は、はほんの少し皆様のお役に立てたのではないかな思っています。そして撮影を通し飯能や前ケ貫の皆様との交流は空家再生利用以上のことを学ばせていただきました。私にはまだまだ皆様とやりたいお仕事がございます。次回の更新も宜しくお願いします。
空間saisei 代表:増山雄一